ボンネビル・ナショナル・スピード・トライアルとは、アメリカ合衆国のユタ州ソルトレイクシティのボンネビル・ソルトフラッツ・インターナショナル・スピードウェイと呼ばれる塩湖にて、毎年8月に行なわれるクルマとバイクの最高速を競うレースのことだ。この最速レースにトライアルした、日本人ピットクルーの緊迫感あふれる参戦レポートを紹介しよう。
初日で暫定レコードホルダーに
以下、私記より
私は例年通り、コンピューターセッティング&ピットクルーとして参加。レース数週間前に雨が降り、コンディションはあまり良いとは言えなかった。ピットへ駆けつけ状況を伺う。
思いのほかラムエアーが効いており、変更が必要とのこと。その場で急遽セッティングを変更。私が来る前に走行したときのデーターをチェックし、過給に対する処置を施し、番手の違うプラグが欲しいことを伝え、とりあえず様子をみる。その結果は、まずまずの仕上がり。現時点でのレコードを破り、暫定レコードホルダーに。しかし接近戦のため更に上を目指す。
エンジンは良い仕上がりなので、会議の結果、ギヤリングの変更をしようということに。ピットへ戻りリヤスプロケットを交換。セッティングを煮詰める。しかし、この日はタイムアップ。
平均速度「170・993マイル」でAMAナショナルレコードを勝ち取る
翌日は風が強く、レースは一時中断。自然相手にはどうにもならない。
そして最終日。風は前日より弱まり、コンディションもまずまず。本日一本目「168・316マイル」。良い結果が出た。しかしボンネビルは往復の平均速度が記録とされる。復路がどうか。緊張しながら復路の順番を待つ。
順番が来た。エンジンスタートと思いきや、電気系統のトラブルで始動せず。塩の影響でどのチームも電気系統には悩まされているが、我がチームも…。もはやコレまでか…と思われたその時、「まだまだ走れるぞ!!」と言わんばかりにマシンが息を吹き返した。結果は「173・670マイル」今回最速の結果が出た。平均速度「170・993マイル」。
無事にAMAナショナルレコードを勝ち取ることができたのだ。
チェックも合格し、レースは終了
レコードホルダーのマシンは排気量チェックがあるため、インパウンドエリアにてヘッドを外す。無事にチェックも合格し、レースは終了となった。
応援してくださった皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
Bull’s eye 尾羽 厚一郎